研究室の歴史

当研究室は、1992年、京都大学総合人間学部の設置に伴って赴任した竹安邦夫教授が開設しました。当初より、原子間力顕微鏡を用いた生体分子のイメージングに注力し、膜タンパク質・細胞内小器官・染色体といった様々な構造体を対象として研究を進めてきました。


1999年に生命科学研究科が発足するにあたって、その創設メンバーとして基幹講座・環境応答制御学を立ち上げ、現在まで分子情報解析学分野を担当しています。この間に、原子間力顕微鏡を生体試料に用いるための様々な試行錯誤を重ね、真核生物から原核生物まで様々な生命におけるゲノム構造のナノスケール解析や、Na/K ATPaseやCaチャンネルといった膜タンパク質動態の直接可視化解析に取り組み成果を挙げてきました。これにより、蛍光顕微鏡や電子顕微鏡では達成できない、「生の生体試料を」「ナノスケールで」「サブ秒単位の時間スケールで」観察・解析する技術を確立しました。同時に、難溶性タンパク質や高次タンパク質複合体が形成する細胞内微細構造に着目し、生化学や各種顕微鏡技術、分子動態シミュレーションなどの手法を組み合わせて多角的に研究を進めています。


2014年に竹安教授が勇退してからは、吉村成弘准教授をリーダーとし、これまでに培った様々な技術を基盤にして、「分子のふるまい」と「細胞のふるまい」を結び付けて様々な生命現象に対するより根本的な理解を得るべく、研究を進めています。


当研究室は、国内外を問わず積極的に共同研究を推進し、活発な人的・学術的交流の中で研究を進めていく方針です。これまでに国内外の多数の研究室と共同研究を行い、共著論文を出版してきました。また、所属学生に対して海外の研究室や学会への派遣を積極的に支援するとともに、海外からの留学生の短期・長期での受け入れも活発に行っています。研究室内でのミーティングや雑誌会は英語で行います。